《MUMEI》

何だか急激に冷めてきてめんどうになったので、あたしは自分の身体を撫で回す彼氏の手をつかんだ。

「・・・・まって」

「どしたん?」

「今日はヤらない」

あたしは扇風機のスイッチを切り、暑苦しい腕を解いてさっさと服を身に着けていく。
こんな暑い部屋ぬけだして、そうだ、どこか涼しいところに行こう。ファミレス、コンビニ・・・・ミニストップがいいな、あそこのソフトクリームが食べたくなった。

さっさと準備しだしたあたしに、なんで?とあわてたようにたずねる彼氏の顔が何だか滑稽で、笑いそうになった。

だって、暑いんだもの。

キョトン、と固まる彼氏。不思議そうな大量生産型の顔。

動力を失った扇風機の羽根だけがまだゆっくりとくるくる廻っていた。


注意点D:高温・多湿でのご使用は避けてください

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