《MUMEI》

「あれ??…」
(確実にもうぶつかってるはずだょな?)
リクがそっと片目を開けると、
…そこはビルのなかだった。
ビルのなかだが、この車はまるで何も障害がないかのように走っている。そして、ビルのなかの人達もまるで何もそこを通ってかのように仕事をこなしている。
「なんだ…これ。」
リクは開いた口が塞がらない。
「だから俺の能力だって、物体をすり抜けられるのさ。」
ビック・Dが首をひねってこっちを見ながら言った。
「あれ、ハイになったんじゃなかった??」
リクが言う。
「兄弟。お前があまりにビビるから冷めちまった。」
ビック・Dはいった。「そうか、だからあんな危険な運転してたのか。」
リクは納得したように言った。
「おうょ。
よそ見運転もスピード違反も俺だけはゆるされるのさ。」

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