《MUMEI》
初恋
「なんで…香さんが…?」
聖羅は呟いた。
ドアの穴から見てみると、香はチャイムを押したのに、誰も出てこないので、少し困った顔をしていた。
聖羅はドアを開けようか迷ったが、結局開けないでいた。
するとあきらめたのか、香はしばらくすると帰っていった。
「なんで香さんがお兄ちゃんの所に来るの…?しかもこんな遅い時間に…。」
佐山と香は、佐山が地元を離れる前に付き合った事があるのだ。しかし…少しの間しか付き合わず、すぐに別れたのだ。やはりお互いに幼馴染みでいたほうがよかったのだろう。根拠はなかったが、なんとなくそう感じた。でもなんで、こんな時間にこんな場所に来るの…?
聖羅の頭に疑問が生まれた。
少ししてから佐山が帰って来た。

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