《MUMEI》
運命
ドンッ
「あ、すいません…!」
「いえ、こちらこ、そ…」
「「あ…」」


久しぶりの再会だった。

何年も経っているせいで、いくらぶりかも、わからないくらい。

「元気だった?」
「ああ、そっちは?」
「うん、元気」
「そう…」

気まずい雰囲気。それも仕方ないこと。最後は、自然消滅で終わった関係だったから。

何も話すことがなくて、黙ったままの二人。

離れていた年月のせいもあるが、共にいたときから、微妙な関係だった。

どちらからともなく付き合い、どちらから何もないまま別れた二人。

好きだったのかどうかさえ、自分でもわからなかった。

ただ、一つだけわかるのは…


「じゃあ、もう行くね」
「あ、ああ」
「元気で」
「そっちも」
「うん…」

あっさりな再会。何か言わなきゃと思いつつ、何も言えなかった再会。

自分は、何一つ変わっていない。変わっていなかった…


「あのさ、」
「…!
え!?」

急に振り向かれて、少し返事をするのが遅くなった。
「あの頃、何もできなかったこと、何も言えなかったこと、ずっと…後悔してたんだ」
「え…」
「今日…会えて本当に嬉しかった。
ずっと、今日までずっと…

好きだったよ」





かけよって、自分の胸に引き寄せて、髪に顔をうずめて。


あの頃言えなかった言葉をたくさん、たくさん囁いた。

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