《MUMEI》
網越しの
帰り道、いつも通る他校の野球グランド。

いい成績を残しているらしく、練習は遅くまでやっている。

帰宅部の自分とは大違い。

「すごいな〜…」

そんな感じで、今日も前を通っていたら


ダダダダダダダ

「…?」

ガシャン!!
「わっ!」

目の前の網に、へばりついている一人の野球部員。

「…はぁ、はぁ、」

(なになに?!)

怯えていると、野球部員がこう言った。


「練習、もうすぐ終わるんだけど…、待っててくれないか…?」

汗だくで切羽詰まった感じにドキッとして、勢いでうなずいてしまった。


学校横のベンチで待っていると、ユニホームのまま走ってくる姿が見えた。

練習のあとなのに、まだ走れるんだ〜…

そんなことしか考えてなかった自分。

まさかこのあと、告白されるだなんて思いもよらなかった。

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