《MUMEI》
えんぴつと消しゴム
隣の席に転校してきたかわいい女の子。

彼女が持っているものは、全て《女の子》って感じのもの。

僕は、隣に座っているだけで、こんなにもドキドキが止まらない。


「あ、」

しまった、消しゴム、家に忘れてきた!

「消しゴム貸して」

それを言うのに、30分もかかってしまった。

彼女は、かわいい笑顔で「はい」と、これまたかわいい消しゴムを貸してくれた。

すると、「えんぴつ、貸してほしいな」と言われた。
見るからに男物のえんぴつを貸すのは少し気が引けたけど、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。


そのまま、授業が終わってしまい、放課後、一人で帰っている彼女を呼び止めて「消しゴムありがとう」と言って返そうとしたら。


すごく寂しそうな声で、「わたし、明日また転校するの。」と言った。

僕は「そっか」と答えた。
彼女は言った。

「その消しゴムと、貸してくれたえんぴつ、交換しよ?
いつかまた会える、その日まで、大切に持ってるから」


僕はうんと頷いて、彼女と握手して、また会おうと言った。

彼女は、うん、必ずねと言った。




そんな僕の初恋は、そろそろ実る予定…

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