《MUMEI》 一夜の間に何かあったのか…。 目がさめてから、5分ほど経ったところで、私は異変に気付いた。 電化製品が、ことごとく使えない。 テレビ、つかない。 トイレのデンキ、つかない。 冷蔵庫、開けても中暗いまま。 テレビもCDも止まっていると、やけに静かだ。眠くなる。 携帯で停電についてのニュースを見たいが、早くしたくして、仕事に行かなければならない。 林檎ジュース飲んで、ヒゲそって、歯磨いて、着替える。 ジュースが少しぬるい。長い停電だったらしい。 ポケットに、携帯と財布と煙草、ライター、鍵、全部入れて、したくは整った。 テレビがついてないせいで、いつもより、はかどる。5分早い。ニューレコード。 林檎ジュースから、コーラに変える。やはりぬるい。 煙草吸いながら、携帯をチェックする。 着信無し。天気予報は、見れない。サイトにつながらない。 嫌な予感がする。 ニュースも、見れない。予感テキチュウ。 田中に電話をかける。田中は友人。 電話が発信できない。タダイマ、機器ニ障害ガ発生シ…と、自動アナウンスが返ってくる。 つぅー、と、嫌な汗が背中を伝う。 意味も無く携帯の充電を確かめ、やたらに煙草を吸う。 気を落ち着かせ、まだ少し時間があることを確かめ、田中にメールを打つ。 文面は、何と田中に言ったらいいか、わからないので、 あろはー と、打つ。件名、緊急事態。絵文字無し。 いらつく気持ちをおさえ、送信をクリックする。 わずかに期待する。 いや、本心は、わずかでなく、田中からの返信を期待しているかもしれないが、自分でもよくわからない。 送信後、30秒経っても何も起こらない。エラーレポートも来ない。 ほんとに配信したのか? |
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