《MUMEI》
限界
どれぐらい耐えていただろう。
だんだんとユウゴの腕から力が抜け、痙攣してくるのがわかった。
隣に目をやると、ユキナも辛い表情で歯を食いしばっている。

 もはや限界か、そう思った瞬間、一際大きな衝撃が二人を襲った。
耐え切れず、ユウゴとユキナは鉄板共々吹き飛ばされてしまった。
同時に何人もの警備隊たちが小さな穴からなだれ込んでくる。

 ユウゴは痛さに呻くことも忘れ、素早く起き上がって近くに飛ばされていた鉄板を引き寄せ、自分の前に立てた。
すぐ隣にユキナも走ってきた。

 警備隊たちは軍隊のように横に整列すると、一斉に銃撃を始めた。

 しかし、その弾は鉄板に当たって跳ね返り、逆に警備隊たちを攻撃していた。
何人かが悲鳴をあげて、その場に倒れる。

その悲鳴でようやく気付いたのか、警備隊たちは手を止めた。
そして、様子を窺うように沈黙する。
 ユウゴとユキナはお互いの顔を見合わせ、少しだけ鉄板から顔を覗かせてみた。

 その隙を見逃さず、銃弾が撃ち込まれる。
慌てて二人は顔を引っ込めた。
また、数人の悲鳴が聞こえてきた。
「……これ繰り返してたら、あいつら全員自滅するかな?」
「だといいけど、あいつらもそんな馬鹿じゃねえだろ」
 ユウゴの言葉を肯定するかのように、ガチャンと何かを床に落とす音がその場に響き渡った。

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