《MUMEI》

岡ヤンは NSR のキックペダルを踏み、エンジンに火を入れる。


パラン!パラン!テケテケ…

ピット前に、か細いエンジン音が響き渡った。


HONDA のレーシング・スピリッツを受け継いだ NSR とはいえ、所詮はノーマルの原チャだ…。


兄貴『おぉ!! 格好えぇなー!』

(そりゃ自分の子供は可愛かろう…。)

その間抜けな親馬鹿ぶりに、オレは冷ややかな視線を送った。


このレースに賭ける兄貴とオレの間には、少しばかり温度差があるようだった。

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