《MUMEI》
再びドライバーセット
そっと覗いてみると、警備隊たちは全員銃を床に落とし、後ろに蹴っていた。
そしてどこに装備していたのか、短剣を取り出して構えた。
「おっと、武器変更だ。……あれなら銃よりマシかも」
言いながら、ユウゴは鞄を探った。
そして、昨日市役所前の激戦で活躍したプラスドライバーを取り出した。

「おまえ、まだ持ってるよな?」
確認するようにユキナを見ると、一瞬の間を置いて彼女は頷いた。
「……持ってるけど。短剣相手にドライバー?」
「何にもないよりはマシだろ」
「そうだけどさ」
不満を口にしながら、ユキナは少し錆びたマイナスドライバーを取り出した。
 昨日の血をそのままにしていたので、錆びてしまったのだろう。

「よし、いいか?絶対に立ち止まるな。動き回りながら、あいつらの向こう側へ抜けろ」
ユキナはユウゴが言った方へ顔を向け、頷いた。
「あれを手に入れたら……」
「こっちのもんだ」
ニヤリと笑みを浮かべて、二人は立ち上がる。

 それを合図にしたかのように、警備隊たちが短剣を振りかざして向かってきた。
そして、二人は同時に左右へ走り出した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫