《MUMEI》
走り抜け
 ユウゴは振り下ろされた短剣をうまくドライバーで受けて滑らせ、弾く。
そして、そのまま体当たりで相手を倒し、その上を踏み付けて走り行く。

 ユウゴは、次に目の前に立ち塞がった相手が短剣を振る前に立ち止まり、僅かにタイミングをずらして走り出す。
すると相手は戸惑ったように一瞬、動きを止めた。
その隙を見逃さず、ドライバーで相手の首を突き刺した。
そして、すばやくドライバーを引き抜くと、血飛沫を浴びながら再び走る。

 少し行くと、いつの間にか二人の警備隊に挟み打ちされてしまっていた。
 前後に迫る鋭い短剣に、ユウゴは思わず立ち止まり、体に短剣が届く寸前でその場に素早くうずくまって横に転がった。

 直後に短い悲鳴が二人分聞こえたが、ユウゴは振り向くことすらせず、立ち上がる。

すでにひどく息が切れて苦しい。
体が重く、動きも鈍くなっている。
しかし、殺されるわけにはいかない。

 ユウゴはグッと歯を食いしばり、足を進めた。

 攻撃を交わしながら、ユウゴはユキナの姿を探す。
すると、すでに彼女はユウゴよりも先の方にいた。
 まるでバスケか何かをしているかのように、スイスイと警備隊たちを交わしている。
「あいつ、やるな」
呟きながら、ユウゴの顔に自然と笑みが浮かんでいた。

 ユキナがこのまま走り抜くことができたなら、きっと形勢は逆転するだろう。
その時には自分も彼女のそばにいなければならない。

ユウゴは気持ちを奮い立たせ、ユキナに負けじとスピードを上げた。

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