貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
11月20日。
その日、
アキは少しそわそわして居た。


わたしは「何だろう?」と一瞬疑問に思いながらも、アキに対して出来ることのヒントになるものはないかを携帯で調べて居たので、それ以上のアキの行動は覚えてない。



「さて、買い物行こうか」

「分かった、すぐ用意するね」

夕方になり、いつもと同じ会話を交わし、わたしたちはマンションを出る。

良く行くスーパーには、徒歩5分くらいで着く。


「それにしても寒いよね。もうすぐ冬だからしゃーないけど」

アキが呟く様に云う。

わたしもうんうんと頷く。


「手、繋ごっか」
「…うん」

アキと初めて手を繋ぐ。


アキの手は、冷た過ぎず、あたたか過ぎず、なんて云うか『ぬるい』と云う表現がピッタリだった。

「あんたの手は冷たいね。寒いっつっても、家出てまだ2〜3分だよ?」

わたしは苦笑いしながら、アキの体温が手のひらにゆっくりと行き渡るのを感じて居た。



「ね、ちょっと寄り道してもいい?」

「うん、いいけど、どこ行くの?アキ」

「いいからこのまま着いて来て」

繋いだ右手をグッと引っ張って方向転換を促すアキ。



わたしはよろけながら、繋いだ手が離れない様にちょっと早足でアキに着いて行った。

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