《MUMEI》 笑顔のひと言梶野は今日も遅刻。 だから、教室から見えるグラウンドに、東郷君を探す。 ―いた! 今日も爽やかだなあ… ―やっぱり、見てるだけって、ダメな気がする。 (ちょっとストーカーっぽいし…) そんなことを考えていると ―ガラッ 「ごめんごめん!! いやあ〜…実はさあ…」 ドアが開いて、梶野が教室に入ってきた。 ―30分の遅刻。 「…今日は何」 「子猫が車に轢かれそうになっててさ!!それ助けてたら」 「…も〜…言い訳考える間にもっと早く来れるでしょ!?」 「…今日は金ないんだって!!まじで」 「―まあ、1日くらいは許す」 「まじで!? 相原やさすぃ〜!!」 そう言ってあたしの頭をがしがしと撫でると、 梶野はにっこり笑った。 梶野は、笑うと顔がくしゃくしゃになって、 笑ったときに見える八重歯が可愛かったりする。 そんな可愛い笑顔のまま、梶野が言ったひと言。 ―そのひと言を聞いたとき、 あたしの心臓は、止まりそうになった。 いや、一瞬止まったかも。 「―お礼にさ、 東郷司のこと教えてやるよ♪」 前へ |次へ |
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