《MUMEI》
東郷君の特技
「梶野…いきなりなに言って…」

「とにかく!司はダメなんだって!!」

「…そりゃ、東郷君はカッコいいし、もてるし、何でもできて…
あたしなんか、無理だってわかってるけど…
そんな言い方ないよ!!」

「…それが司マジックなんだって!!
“相原なんか”、じゃなくて、
“相原だから”、ダメなの!!」

「??…わけわかんない…」


―ほんと、こいつはいきなりなに言い出すんだか…


「わっかんないかなあ…騙されたと思って、おれを信じてみろよ!!」

「…騙されるも何も、話が全ッ然見えないんだって!!
―“騙されたと思って信じる”って、矛盾してるし」


「…ゆってなかったけど、じつはおれ、司の従兄弟なんだよ」


―またトートツに!!


「へーはつみみ」

「ちゃんと聞けって!!」

「…はいはい…
で、それがどーかしたの??」

「だからあ、お前よりおれの方が司のこと知ってんの!」

「じゃあ、なんでダメなのか教えてよ」

「…それは…」

「ほら、言えないんじゃん」

「…忠告だけしとく。

―司の特技、

それがな…


“女殺し”なんだ」

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