《MUMEI》

並んで自転車を押しながら、
あたしたちはグラウンドの前を歩いていた。

今日の課題にあたしがてこずったせいで、
帰りがいつもより遅くなってしまった。


サッカー部は1日練習らしく、今から昼食の時間らしかった。


ぼんやりグラウンドを眺めていると、


一人の男の子と目があった。


(とっ東郷君!?)


―目が離せない。

でも東郷君も視線を外してくれない。

5秒くらい目を合わせた後(1時間にも思えた…)、

東郷君は
ふと視線を上げて微笑み、


「トモくん!?」


そういうと、

―こっちに駆け寄ってきた。

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