《MUMEI》
銃、奪取
 二人は下に転がされていた警備隊の銃を素早く手に持ち、構えて叫ぶ。

「おまえら、動くな!!」

警備隊たちは一斉に動きを止めた。
 ユウゴはその様子を見て思わず笑った。
「おお、いい子だな。まあ、言うこと聞いても撃つんだけどな」
言ってユウゴとユキナは引き金を弾いた。
しかし、カチっという音が僅かに聞こえただけで弾が出ない。
「な、なんで…」
 ユウゴの言葉に、ユキナも驚いた様子で銃を見ている。
すると、警備隊たちが今度は一斉に動き出した。
「避けろ!」
叫んでユウゴは攻撃を交わす。
「ユウゴ、なんでこれ撃てないの?」
寸前のところでなんとか攻撃を交わしながら、ユキナは銃を振り回している。
「ロックがかかってんだ。どっかについてるはずだ。解除したら撃てる!」
言いながらユウゴも指先でロックの位置を探すのだが、なかなか見つからない。

「おわ!あぶね」
 ユウゴは手元に気をとられていたため、足がもつれて転んでしまった。
「ってえ……」
慌てて起き上がると、すぐ目の前に短剣が迫っていた。
反射的に銃を突き出して撃つ。
すると、連射で弾が飛び出していった。
どうやら、転倒した衝撃でロックが解除されたようだ。

 あまりグリップを握る手に力を入れてなかったため、弾の行き先が定まらない。
慌てて引き金を戻して、起き上がると、周りには警備隊たちが五、六人、血を流して倒れていた。

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