《MUMEI》

「で、どうしたって?」

コーヒーでも淹れようかな、と立ち上がると、俺も、と手を上げたので無視して差し上げる。暇つぶしかしらないが、用もないのに保健室に入り浸るようなヤツに飲ませるコーヒーはない。そう言うと、けち、と昭和アイドルのように頬を膨らませた。

「昨日彼女が遊びにきてたんだよ。そしたらさー、俺のAV発見しちゃったらしんだよね。その場では何も言われなかったけど、今日別れようって言われた」

「はい終了。100パーあんたが悪い」

「何で何で!?浮気じゃないじゃん」

「でもそのAV見てオナニーするんでしょ?精神的にも肉体的にも純然たる浮気じゃない」

「うわ、仮にも保健の先生がそんなことゆう?」

「保健の先生だから言うんですー」

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