《MUMEI》 いちいち考察しない乙矢はカウンセラーになればいいのに。 でも秘書になるんだったっけ。 今日は部活動に乙矢が副生徒会長になって忙しいのに顔出して来てくれて、作業がサクサク進む。 「七生は隣で後輩指導?」 「う、うん。そうだね」 「安西と、神戸?」 「う、うん。そうだね」 乙矢と話していると嘘発見機にかけられたと思うときがある。 「木下同じ返事ループしてるよ?」 東屋にツッコミされた。佐藤と藤田からどっと笑いが起こる。 乙矢は静かに横目で俺を見てた、神戸を気にしてること完璧に読まれただろう。 「これから学祭も始まるから、前日当日は自分達の時間無いと思って。」 そうか乙矢達生徒会はもう準備に掛かっているんだ。本番は更に忙しいだろう。乙矢がいないのはかなり痛い。 去年の学祭は苦い思い出だ。水瀬と七生と気まずくなったのも学祭だった。 「彼女と何処か行こうものなら許さんからな」 東屋まだ彼女出来ないから……。なんだか、独りは不憫だな。 「寂しいのか?」 頑張れ東屋。 「励ますな!そんな目で見るな!」 憐れみの視線を送る人々に東屋は気丈にも立ち向かう。 七生が居なくても大丈夫だ。俺は俺なりに楽しんでいる。 七生は元から俺が居なくても何だって出来ていたんだから、たまには互いに距離を置くのも悪くない。 「いいなー、楽しそうだなー。」 扉の隙間から安西が覗いている。 「おいでおいで、疲れた?息抜きしなさい。飴食べるか?」 手招きすると安西が飴を貰おうと受け手で寄って来た。 「上手くいかなくてボイコットか?」 「有志飽きっぽいからな」 佐藤と藤田の安西いじめ? 「違うわー、先輩とおーちゃんがレベル高すぎて凡人は落ち込んでるだけ〜!」 天才と天才に挟まれるのは辛いよな。安西も無理強いで始めた朗読なのによくやっているよ。 「じゃあ皆で聞いてあげようか、自分が思っているよりはいいかもよ?」 安西の朗読、まだ聞いたこと無い。 「うえー無理すよ!」 「安西君は先輩に刃向かうのかー?」 東屋がパワーハラスメントをする。 「えー、でもでも俺声汚いし!」 「少しくらい暗記したんだろ。皆聞きたいよな?思い詰めないで不満を愚痴るくらいの軽い気持ちで聞かせてくれればいいよ。」 本番はもっと緊張するんだから練習させておくべきだ。 「やっさしー、木下先輩!絶対安西のこと気に入ってるよな」 「東屋が後輩に優しくないだけじゃない?」 余計なこと言うな七生に聞かれたら面倒だ。後輩の面倒見るのは先輩の役目だろう。 前へ |次へ |
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