《MUMEI》

「コラッ!!」


ガブッ!!

「いたあ!ヤだあ、やっ!!」





脇腹を強烈に噛まれ、痛みでまどろんだ意識が覚醒する。




「ばかな事言う子はこうだ、また噛まれたいかこら!
…しかも今度はこっちに噛みつくぞ!」




秀幸はそんな台詞のわりにご機嫌な表情で、俺の中心を握りながら俺の顔を覗いてくる。



――俺ってバカ?


はは…バカ!!

こんなに愛されてんじゃん…、




好きな人に…さ…







何バカみたいにそんな事考えてんだか。








――でもきっとこれが恋なんだろう。







落ちつくけど落ちつかない。







安心するけど安心できない。







こうやってバカになったり
格好悪くなったり…






でもそれを…







そんな俺を好きになってくれた…







愛しい……人。






「んー、ヤだ!ベッドシーンゼってーヤだ!!」







今度はさっきの気持ちとは違うけど、
結局似た台詞をまた吐いてみる。




「はー、噛むぞ!?」




秀幸も俺の表情で察したのか悪戯っぽく覗いてくる。



「だってヤだもん!」
「はー…、ははっ、
じゃ〜覚悟しな!!」

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