《MUMEI》
一掃
「……よ、よし。よくわかんねえけど、いける!」
 ユウゴは頷きながら、ユキナを振り返る。
するとタイミングを見計らったかのように、ユウゴのいる方に向けて弾丸がとんできた。

 弾はユウゴの頬を掠めて、後ろに迫っていた警備隊の頭を撃ち抜いた。

「おい、こら!危ねえだろうが!!」
ユウゴは走りながら怒鳴る。
「ごめん、ごめん。でも、助かったでしょ!」
「ああ、まあな」
二人は怒鳴り合いながらも、銃の乱射を続けた。
おもしろいほど弾は警備隊に命中し、どんどん敵の数は減っていく。

「よっしゃあ!このまま一気に片付けるぞ」
「うん!」
勢いづいた二人は走り寄り、背中合わせになって、警備隊を一掃すべく撃ちまくった。

「よし、あと少しだ……」
 言いながらユウゴが振り向こうとした時、突然ユキナの体が倒れ込んできた。
どうすることもできず、ユウゴは下敷きになって一緒に倒れる。
「……いってぇな。なんだよ、おい!どうし…た?」
ユキナの腕を掴んだ手がヌルッと滑った。
血だった。
「おい?」
ユウゴはユキナの体を抱えて呼び掛ける。

どうやら息はあるようだが一瞬だけ意識を失っていたらしい。

 ユキナはカハッと息を吐くと、腕を押さえながら体を起こした。
「大丈夫か?」
「な、なんとかね。それより……」
 苦しそうに言うユキナの視線の先には、再び立ちはだかる黒服の男たち。

撃たれた者が復活したわけではない。
新たに到着した援軍らしい。
当然、全員の銃口はこちらを向いていた。

「……こいつら、マジでうぜえ」
思わず、ボソッとユウゴは呟いた。

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