《MUMEI》

「ちょっと待ってよー」

首筋と胸元がキスマークでいっぱい。





改めて良く視ると躰中凄い事になっていて…、脇腹なんか歯形までくっきり残っている。


ガチャ…




「ゆうちゃん、あ、やっと浴び終わったか」





全裸の秀幸登場。





ボサボサの頭を掻きながら俺の後ろを通り、バスタブに跨ぎ、カーテンをしゃっと閉めた。





「秀幸酷いよ!人に見えるとこまでキスマーク付けるなんてさー、…バカぁ…」



シャワーが出された音がする。





「ははっ、ゴメンよー、つい可愛いくってなー、ま、ゆうちゃんが俺のだからっつう他の奴に対する権勢の意味も込めたつもりでもあんだけどよ…」





俺は、ハァと溜め息一つつきながら歯ブラシに歯磨き粉を付ける。

「フフッ…だからよー…、ゆうちゃんが監督に手え出されねーようにしたの!
何だか監督、ゆうちゃんにベタ惚れだかんなー!
俺によー、あの子可愛いくって可愛いくって堪らんていっつもほざいてるし、
あー…クックックッ…悔しがんだろーな…、俺がゆうちゃんの事モノにしたって分かったら」






監督と秀幸は同じ大学の演劇出身で、秀幸の方が先輩らしい。
かなり仲が良いのに
いつでも名前を呼ばず監督と言ってるから、
疑問に感じて聞いた事があった。
そしたら有名なAVの監督に似てるからってだけの理由で、学生時代から監督さえした事が無い時から監督と呼んでいたらしい。







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