《MUMEI》
*o*
公園のベンチに並んで座って、
ガリガリくんをガリガリ噛み砕きがら梶野に聞いてみた。


「東郷君ってさ、」

「…なに」

「……別に可愛くない娘、
好きになったりすることあんのかな??」

「はあ?…しらねーよ、そんなの。
―なんで??」

「いやあ…だって、
あたし別に可愛くないし、なんであたしなんかのメアド…」


「・・・・・・・・・・…ょ」


「ん?なんて??聞こえな…」


「相原は!…かわいい、よ…」


「…へ!?」


真っ赤になって俯く梶野。


―たまにはいい嘘もつくのね…


「―ありがと!!
ガリガリくんおごってもらったからって、
気ぃ遣わなくてもいーのに!!!」


あたしが笑ってそう言うと、


「…ばれたか」


梶野もそう言って笑った。


梶野の“かわいい”は、


嘘でも、ちょっと嬉しかった。

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