《MUMEI》
「さすが!助かった〜!」
裕斗は俺から嬉しそうに受け取ると、直ぐに電話の先の相手と話だした。
俺は煙草に火をつけ、そんな裕斗を黙って見守る。
全く…昨日も充電切らしてたみたいだし…
結構抜けた子なのかもな…。
服装なんかの見たくれはガッツリ決まってるが、バッグの中はえらいごちゃごちゃしてるし、
ハンドクリームだってキャップ閉まってねーで入ってたし…。
…俺が教育してやるか…
はあ…。
暫く話した後携帯を俺に差し出してきた。
「助かったー、有難う」
「そりゃ良かった!で、何だって?」
「うん、局まで気をつけて行ってね、だって!、後ちゃんと携帯は充電しろって怒られちゃった、ハハッ…何かつい忘れちゃうんだよね、これって」
「もー笑い事にすんな!忘れて困んのはゆうちゃんなんだからこれからは確り気をつけれ、…ほら、もう飯行くぞ…」
そしてお互いに立ち上がり、
裕斗はドアノブに手をかけた。
「あ、忘れモンだ…」
「え?」
俺は裕斗の後頭部にぐっと手をかけた。
「電話のお礼のキスだってば…」
俺は裕斗をそのまま引き寄せ、唇を合わせた。
裕斗も、俺の首に腕を回して…、
積極的なお礼のキスを…してきてくれた。
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