《MUMEI》
夜の学校
「梶野…今気づいたんだけど…」

「…なに??」


―夜の学校。
さすがに誰もいないし、
真っ暗で、気味が悪い。


「学校来たはいいけど…これからどーすんの??」


不安になって梶野に尋ねると、
梶野はイタズラな笑みを浮かべて、
ポケットから何かを取り出してみせた。

チャリ、と音を立てて小さく揺れたそれは―


「…鍵??」

「正解♪」

「正解、って…
どこの鍵??」

「まあ、見てなさいって!!」


笑顔のままそう言うと、
梶野は校舎に向かってすたすたと歩き出した。


「ちょっと!!
―置いてかないでよッ!!!」


慌てて追うあたし。

立ち止まり、
そんなあたしを振り返って微笑むと、

また

あのへたくそな
『スタンド・バイ・ミー』
を口ずさみながら

梶野はゆっくりと歩き出した。

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