《MUMEI》

「父さん、裕斗と二人で食事がしたいって言ってるんだけど…どうする?」


―――父さん…か。





「うん…、わかった、いいよ…」









階段を上がり、玄関の扉を開ける。




「ただいまー!」





俺はシューズを脱ぎながら、奥に居るであろう真菜に向かって言う。




するとバタバタと激しい音と共に真菜が現れた。




「何してんのよ!
全然連絡つかなくて馬鹿!!
直哉さんが…、直哉さんが!!」

真菜はがくっと床に崩れ、黙ってしまった。






「な、直哉が…
え?」






ただならぬ雰囲気に緊張が走る。





俺もしゃがみ込み、真菜の肩を掴んだ。





「危篤…だって…
危篤だって!!
死んじゃいそうなの!馬鹿!早く病院行って!!」







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