《MUMEI》 願いを星の数だけ梶野がなぜか持っていたもう1つの鍵で、 屋上へ続く扉を開いた。 ―ギィッ…― 屋上に足を踏み入れたのは初めてのことだった。 上を見上げると… 「…………!!!」 そこに広がっていたのは、 星、星、星…… 「…うわあ…」 「―な?すげーだろ??」 空に広がる光景を見て 言葉を失ったあたしに、 梶野は自慢げにそう言った。 「…うん…すごい… ―…あっ!!」 「どした!?」 「今!流れ星!!」 ―流れ星を見たのは、 それが初めてのことだった。 「速すぎて、願い事3回は無理だよ〜…」 「だから、何年かに1回、 流れ星大放出日があんだろ〜??」 ―そーいう問題か?? 「人には108つも煩悩があんだ。 そう簡単に叶えてくれるわけねーって!」 「…そうかも…」 「だから、今日は特別!! 願い事1つだったら、 叶えてくれるかもしんねーぜ??」 「…よし!!」 ―それからあたしたちは、 学校で一番高い場所からの『なんとか座流星群』 を2人占めして、 それぞれの願い事を たった1つだけ、 流れ星に 願い続けた。 前へ |次へ |
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