《MUMEI》
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俺はタクシーから降りると急いで病院の中に駆け込んだ。
頭の中が混乱して、訳が…もうなんだか分からない。
ICUの案内表示を見ながら階段を駆け上がる。
すると、長椅子に…
直哉の兄貴…達也さんが座っているのを見つけた。
「なおは!直哉は!!」
俺は見つけるなり達也さんに詰め寄る。
すると達也さんは、うつ向いていた顔をゆっくりと上げた。
――泣き腫らした顔…ゆっくりと頭を左右に振る。
「会わせて!お願い!!達也さん!!」
俺はひざまずき、またうつ向いてしまった達也さんの両肩を掴み、強く揺ぶった。
「お願い!会わせて!会わせてよ!!」
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