《MUMEI》

やっぱり、こういうときは…

『エイリ●ン系』は
ダメだったか??


東郷君は映画館を出てから元気を無くし、
マックで頼んだ『照り焼きチキンバーガー』も
見つめるだけで、口をつけようとしない。


あたしは、ホラーとか幽霊はダメだけど、
エイリ●ンとかゴキ○リは平気だ。



ああ…

映画の選択ミスった…


「あの…東郷く…」


東郷君に声を掛けようとしたとき、

俯いたままだった東郷君が
ふいに顔を上げた。


「あの、相原さん!!」

「は、はい!!」

「相原さんって…
いつもトモくんと一緒に帰ってるよね??」

「え??…う、うん」


―どうしたんだろ、いきなり…


「もしかして、
相原さんとトモくんって…
―…付き合ってる、とか??」

「…はい!?」


―と、東郷君…何言ってんの!?

慌てて否定する。


「そ、そんな訳ないじゃん!!
ただの友達!!!」

「―…ほんと!?」


東郷君の表情がぱっと明るくなる。


「ホントにほんと。」


と言うと、


「よかったあ〜!!」


そういって、東郷君はハンバーガーを食べだした。


…なんだ、気分悪かった訳じゃなかったんだ…



―ん??

…“よかった”!!?

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