《MUMEI》

「痙攣おこしてるとき…、直哉の奴、必死に裕斗君のこと呼んでいた…、何度も…何度も…
そして…最後に…
…ゴメンって…」







「なおー、なおー…」





悔しい…、俺が会いに行かなければ…
あんな話をしなければ…




きっとこんな事にはならなかった…。





「なおー…何で謝るんだよぉ、なおは何もしてねーよ、
俺が…、俺が悪いのに…
頼むよ…、助かってよ…」















――ICUは限られた面会設定時間の為、俺達は外に出された。






さっきの長椅子に二人座り、俺はただうつ向いて…ずっと…涙が止まらない。





すると、暫く一緒に黙っていた達也さんが…、静かに口を開いてきた。




「…トラックとぶつかって救急車で運ばれたって聞いた時はもうスゲーびっくりして…、
でもさ、来てみたら本人はいたってピンピンしてたんだよ…、
ちょっと打撲がある位でさ…

どこも痛くないって…ただ、もしかしたら頭打ってるかもしんないからって検査してから退院しようって…、だから昼まではバカ話で笑ってたのに…それなのに…、それなのに……

午前中にCT撮った時は脳に異常はなかったんだよ…、なのに…
なのに…、
痙攣の後
MRIに入ったら…、脳が腫れてるって…、
脳圧がいっぱいいっぱいで…、
いつ脳死になるか…分かんない状態だって…」






前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫