《MUMEI》

「……痛ッ……」

机には背中しか乗らず首がしな垂れかかる、金縛りのようだ。シャツの釦が外され貧弱な身体を披露し、下唇から喉を撫でる指先までゆっくり舌が這ってきた。

「…… は、 ン、」

中身がぐちゃぐちゃに掻き乱される感覚、体が言うことをきかなくなりしきりに魚のように跳ねる。

目の前の自分を見たくなくて腕を顔に被せた。

「じろー…… 、は、」

七生が首から鎖骨に移動した。心地良く俺の名前を呼ぶ。

あつい、焼け焦げてしまう。煙でも出たみたいに視界がぼやけている。
何度名前を唱えられても足りない。
胸部に唇が下りた辺りで腿に七生の膨らみがあたった。強引だ、本能で動いてしまう動物。皆そうなのか?
日常に未知の情欲なんかが紛れて始終頭から離れない、駄目なことなのに。ごめんなさい、ごめんなさい。悪い子になってしまってごめんなさい。


張り裂けそうに好きなのに、怖くて、こんなにも苦しいのは俺だけ?

常識の崩壊が、自分自身の崩壊のようで怖い。


涙が滲み出て、歯がカチカチ音をたてた。体中が震える。


「……よくないの?」

七生の動きが止まる。


「……え、何を今更。聞く前に身体が動いてるクセに。」

上半身を起こして貰って机に上がる。さっきまで互いにぶつかっていた肌とは思えないくらいに冷静だ。

「そっちが触って欲しそうな顔してるからだろ!それを急に嫌そうにしてみたりどっちなんだ、はっきりしろ!」

「俺が悪いみたいに言うな!勝手に思い込んでるだけだろ、俺には俺で考えてることがあるの!」

「だからそれを言えって!何をそんなに悩むんだよ、俺のやり方が悪いせい?」

突拍子もない発想だ。


「関係ない!個人的なものなんだって!」

はだけた釦を閉じていく。二つ目の釦に手をかけたところで七生が手を掴んだ。

「……関係ないなんて言わないで……」

俯いてはらはら涙を零した。痛がっている。
泣かしてしまった。可哀相だ、俺なんかに振り回されて泣いている。

「……怒っていたと思ったら泣いたり、忙しいね。」

七生の涙を拭ってやる、冷たかった。

「……どうすればいいかわかんない。 二郎は俺以外にも優しいから、 不安で、 俺ばっかり好きになってるんじゃないかとかっ……!
 二郎を触っても触っても、わからないんだ。俺がもっと触りたくなるだけで、二郎がどう思っているのかさえわからない。」

鼻を啜りながら話していて、拭いてあげたくなる。
俺だってこんなに七生を想って悩んでるのに。

「……七生みたいに上手く伝えられないけど、ね、俺なりに七生のこと考えてるよ。七生が苦しいなら楽にしてあげたい……て。」

俺からキスをする。七生の唇はきっちり結ばれていて、温かい。

「ちょっ、何処触って……」
七生の動揺が可笑しい。


「何人もおねーさんと付き合ってきてるんでしょう?触られるのは初めてじゃないのに。」

他人の局部を触るなんて、恥知らずだ。嗚呼、でも七生のためなら、七生にならなんでもしていいよ。

「二郎って潔癖だと思ってた……」

「俺も。」

七生のベルトに手をかける。チャックを全部下ろした。腿にぶつかってるときからだけど、着衣の上から分かるくらい硬くなっていて重さが違う。

「……ア 、じろーは?」

「まだいい、出すと疲れる」

七生の下着を半分ずり下げ尖端を指で象った。
掻き分けて奥まで触る。擦ると形が変わった、際限無く大きくなってくんじゃないだろうか?

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