貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
俺様との出会い。
そして今に至って今朝、教室がある廊下を通ろうとした時のことだった
朝稽古が終わった柔道部の主将である柏原が思いっきり追いかけてきやがった
体はでかいが足がやたら速いのが難点であり、前に言った通り逃げ足だけが取り柄のオレでもギリギリ追いつくか否かの状態だった
そして、何ともいえない汗臭さと鼻息の荒さがたまらない

「うっせー、きもいんだよてめーはぁっ!!」

体洗えよ、汗拭けよ、このデブがぁっ
ハァハァハァハァハァ鼻息荒くてうっせーんだよー

なんとかオレは思い切りスピードを上げて廊下のつきあたりにさしかかった
よっしゃ、ここが勝負だ。ここを逃げ切れば・・・
と、俺は上手くコーナーを曲がったつもりだった
が、勢い余って出会い頭に誰かとぶつかり体の小さなオレは見事に弾かれた
相手も思いっきりしりもちをついていた
白い紙がはらりはらりと上から降ってくる

「い、痛てててて…」

幸いにもオレはしりもちをうったぐらいだった、これくらい大したこたない

「・・・オイ・・・。」
「はい?」

目の前には金髪で長髪のいいオトコが床に座り込んだまま、涼しい眼で俺をものすごく睨んでいる
そしてものすごく眼光がするどくて眉間に皺が寄っている
しかしながら鼻は小さく筋が通っているし、身長もオレなんかとは比べモノにもならないくらい高いし、スラッとしていて腕や脚も長く、金の髪の毛はサラサラと流れている
全身からきらきら輝くオーラが見えるよう・・・女の子はこういう男の子が好きなんだろうなぁ・・・
ちんちくりんのオレから見ればすごくカッコいいし、羨ましい
って・・・アレ?ヤバイ、もしかして俺、このヒトに殺されちゃう?
ぼんやり眺めすぎたようだ

「ヒ、ヒィ。スイマセン申し訳ありませんごめんなさい許して許して許してえええ・・・」
「よく見たら可愛えやんけ。ブッサイクな奴ならフツーにドツくが、まぁ、合格・・・やな。俺の下僕けってーい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

いつの間にかアゴを軽く持ち上げられ、そのいいオトコはオレの顔に穴があくくらい見ている
っていうかオレ見つめられている
顔と顔の距離がすごく近い
何か恥ずかしい・・・なんで男同士なのに照れるんだ・・・?
やっぱりカッコいい人はなんかオーラから違うよなぁ
よくよく考えたら今オレ目の前にいてオレのあごをつかんでいるのはの2組の大川クンだった
憧れてはいたけどこんなに近くにいるとは・・・なんてキラキラした人なんだろ・・・

「うぁ・・・あ、あの仰ってる意味が分からないんですけど・・・」
「あーほー。俺様にぶつかっといて、なんもなしって訳にはいかんやろー。」
ニヤニヤと笑いながら俺の耳元でボソボソと呟く
やっぱり謝っただけじゃ駄目なのね・・・
噂には聞いてたけど、なかなかキツイお方だこと
大川クンが華麗に指を鳴らすと、周りにいた男子生徒が書類を急いで拾い始めた

「さて、生徒会室で保護するべ。お前ら、1枚も見逃さずに拾っとけよー。」
「うぃーっす。」

そう言うと大川クンはオレを軽々と右肩に乗せると颯爽とその場から立ち去った
かっこいいなぁ〜、とか思ってる場合じゃあないんだよね
どうなる?どうなるんだ担がれたオレ
ライフカード切れねぇーっ、むしろライフカードがないってのー

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