《MUMEI》

軽い口調で答えるとさらにぷぅ、と頬をふくらませた。あら図星だったようね。小さく笑いながら椅子の上で膝を抱える男子生徒を眺める。

「・・・・やっぱさぁ」

すると男子生徒はしみじみとため息まじりに呟いた。

「俺って軽いのかな?」

いつもよりちょっと低めの張ってない声は、ぽろりと保健室の床にこぼれた。
落ちる沈黙。初夏の淡い冷房の音と気の早い蝉の声が重なって聞こえる。

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