《MUMEI》

「・・・・そんなに彼女のことが好きだったの?」

「・・・・っうん」

こもる声、ゆれる茶髪。
私は小さくため息をついた。
女の子に不自由ないこいつは、それこそすぐに新しい彼女を作って、高校生活を謳歌して、それは大学生になっても変わらなくて、就職したら馬鹿みたいに早く結婚するだろう、きっと。それを可能にする素質がある。そしてそのころには昔付き合ってたの彼女のことなんてすっかりさっぱり抜け落ちてるに違いない。

その程度のことに一時の感情で流される彼がちょっとだけ不憫に思えた。

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