《MUMEI》

「大丈夫。あなたのイイところは悪いところを補って余りある。ちゃんと謝って、好きだと言って、それでもまたフラれたら、それはその子があなたの良さがわからない女だったってことよ」

「俺のイイとこって何さ?」

「自分で探しなさい」

「・・・・何だソレ」

涙をたたえた瞳が小さく笑った。ごしごし、と乱暴に目を拭き、身軽に椅子から飛び降りる。

「ありがと。やっぱ相談は年上だな」

「何気に失礼ねソレ」

ようやくいつもの男子生徒に戻ったようで、私は椅子に座りなおしコーヒーを飲む。ちょうだい、と言われたのでやっぱり無視する。

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