《MUMEI》
気になる奴ら
他のチームの連中が、何やら騒ぎながらコースを指差していた。

皆口々に「凄い」だの「速い」だの口走っている。


オレが指図につられて視線を向けたコース上には、ゼッケン19の NSR-50 が走っていた。

それは純正カウルのカラーリングとは違う、蛍光オレンジに塗られたド派手なマシンだった。


そしてそのマシンを操るのは、同系色のツナギとメットをセンス良く組み合わせた男だった。


だが騒がれていたのは派手な装いではなく、その卓越した"走り"についてだろう。

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