《MUMEI》









達也さんの説明は難しくて良くわからなかったけど…





深刻な事になっているのは…間違いない事実のようだ。






「助かる…確率は…」





「…奇跡にちかいらしい…、ただ助かっても…重い障害は…残るだろうって…」






そう言うと、達也さんは俺に抱きついてきた。






―――咳を切った様に声を出して泣きじゃくる達也さん。





俺なんかより…比べらんない位辛い筈だ。
俺も達也さんにしがみついて、直哉への想いのたけをぶつけて…泣いた。









それから、達也さんは直哉の話をたくさんしてくれた。






直哉は俺とセックスしやすい様に一人暮らし始めたって言ってたけど、それは違っていた。




違う理由だったのが
今頃分かった。





直哉は達也さんの父親の妹の子で、
達也さんからみれば本当は従兄弟だった事実。

直哉は高校卒業に合わせて、勝手に気をつかって家をでたらしい。

直哉は大学の学費は奨学金なのは知ってたけど、
生活費の援助まで断わって全て自力で頑張っていたらしい。

そんな事…、直哉は俺に全然言わなかった。



外食したって当たり前の様に割り勘にされてたし、時には当たり前の様に奢ってくれていた。




俺は勝手に…、
一人暮らしもバイトも気楽な学生の道楽と




…解釈していた。





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