《MUMEI》 一瞬の空白、のちに衝撃。顔に冷たいんだか熱いんだかわからない血が上るのを感じた。 来年いない? 違うよな、そういう意味じゃないよな。都合のいい答えがないことはわかっているが、いまひとつ頭がついてこない。あれ、俺こんなにぶかったっけ? 「・・・・え?」 「だから、今年で離任なんだってば。まだ何処行くかは決まってないけどね」 高校入学と同時に出会って、本気で好きになって、教師と生徒の恋愛なんてダセェとは思っていたけど、やっぱり好きで、顔を見るだけで幸せだなんて、そんな下らないことまで思っていたのに。 実は普通に出来る数学もわからないふりをして、だけど理系を志望したのも、全部少しでもこの女教師のそばにいたいと思っていたからだったのに。 卒業したら告白したいなとか、思って、たのに。 . 前へ |次へ |
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