《MUMEI》
直哉の事…
俺は何も知らなかった。
ずっと一緒にいて、親友なんか超えた関係で、
なんでも…、一番俺が直哉の事知ってると思っていた。
―――でも…
直哉だって
直哉も…俺の事…
俺の本当の気持ち…
何も知らなかったじゃないか……
俺、自分の事…
幸せそうな直哉には…
羨まし過ぎて…
勝手に卑屈になって
…話しなかった…。
出来なかった…。
たかが父親と別に暮らしてる位で世界一不幸な気分になって…、
両親を亡くして生きてきた直哉の方が…
全然辛かったのに…。
――そんな直哉を俺は捨てた…。
直哉を愛する努力もしないで…、
直哉が大変な事になっている時に…
俺は他の男に抱かれていた……。
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