《MUMEI》

なんだ、最初っから負けだったんだ。恋愛戦線大敗北。トラジックな脳内から意味不明な単語がこぼれて、思わず笑いそうになる。

「そっ、か。さみしくなるな」

「そーねー。この学校も結構愛着あるし」

「・・・・うん」

「生徒とも仲良かったしね」

ちらばったペンやプリントを片付けながら、女教師は呟く。

「ま、あと1週間ぐらいだけど、よろしくね」

椅子から立ち上がり、ジャージ姿のまま欠伸と背伸びを一つ。薄汚れた布の鞄を肩から提げるその細い背中を見ていると、不意に泣きそうになった。

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