《MUMEI》
ぬくもり
ナルシェに集まったメンバー達は氷漬けの幻獸と反応し、変身したティナを追うことになった。パーティーには、エドガー、マッシュとセリス、ロックが選ばれ、フィガロ城に向かう。

セリスはナルシェで他のメンバーと出会って、少しずつ打ち解けようとしていた。ロックはセリスが一人にならないよう気を遣ってくれていた。
「へーっセリスってまだ18なの?落ち着いてんなあ…」
「そんなことないわ、こういう喋り方や立ち居振る舞いが染み付いてるのよ、…私は孤児だったし帝国以外の事は何も知らないわ」
フィガロまでの旅の途中、マッシュが気さくに話し掛けてくれている。エドガーはナルシェでの事があって何となく距離を取っていたし、ありがたかった。
ナルシェから南下していくと気候も少しずつ温暖になっていく。途中猟師小屋とテントで2泊して、ようやくフィガロ砂漠に出た。さすがに疲れもあったけれど、弱音なんかはいてられない。
そんな様子にすぐにロックは気付いてくれている。
「セリス、怪我は大丈夫なのか…?疲れてるだろ」
「少し痛むけど、もう少しでしょう?平気よ」
「とは言ってもこのまま歩くのは難しいだろ?ちょっと待ってろ」
そう言うとロックは勢いよく指笛を響かせた。
それに呼ばれてチョコボが一匹、森からひょっこりから表れる。ロックは簡単な手綱を付けると、
「これからフィガロまではコイツに乗ってくから、ちゃんと俺が道案内するよ」
「えっ、でも…エドガーとマッシュは?」
「あいつらは野郎だからいいの」
そう言って、セリスの手を引いてそね背に乗せる。チョコボはロックに懐いているのか、おとなしいようだ。
「もちろん交代だよ、ロック一人にいい思いはさせられないからな」
エドガーはそう言ってウィンクをする。
「てめーは下心がありすぎんだよ」
「まあ次のオアシスまではロックでいいぜ」
「了解」
ロックはそれを聞くとチョコボに自分もまたがった。
「フィガロまではここから半日ぐらいある、もたれていいから少し休めよ」
「ありがとう…」
セリスはロックの肩につかまるように乗っている、内心こんな体勢では休まらない、と思いながらも、ロックの気持ちに甘えて目をつむった。
ロックの背中はあたたかくて、疲れもあってそのまま意識が遠のいた。

「セリスー?寝てんのかな?」
一時間ほどして、ロックは振り返ると、セリスは控え目にロックのジャケットを握りながら寝息をたてていた。さの容貌は歳相応の少女のようで、ロックは一瞬ドキリとする。
「ロック君、寝顔を独り占めはよくないよ」
「うるせー、お前ら先行けよ」
フィガロ兄弟の冷やかしに我に返ったロックは、仏頂面で前を向く、彼女の体温を背に感じながら…

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