《MUMEI》

梶野に教えてもらいながら
数学の課題を解き終えて、職員室に持っていく。


「工藤せんせー!!」


梶野が呼ぶと、

職員室の奥の机で
カップ麺をすすっている、
若い男の先生(工藤圭介/25歳独身)が
顔を上げた。


「お!終わったかあ」

「らくしょー♪」


調子いいことを言いながら
先生のほうにすたすたと歩いていく梶野。
あたしもその後に従った。


「…よし、じゃあもう帰っていーぞ!
―最後の補習、お疲れ!!」



―へ??



『最後』!?



「…なんて顔してんだ、相原?
嬉しくないのか??」

「―え??だって…
だって、補習って、来週までじゃ…!?」

「いや〜、そうだったんだけどな。
お前らが思ったより真面目に来てたし、
課題の出来も良かったから、短くしたんだ!

―夏休み残り2週間、楽しめよ!!」


工藤先生は、笑顔でそう言うと、
梶野の背中をばしばし叩いた。


―今日で終わり、だったんだ…


嬉しいはずなのに

胸がきゅうっ、と

締め付けられて、


なんだか


苦しかった

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫