《MUMEI》
淋。
自転車を押しながら、コンビニまで歩く。

いつもより
口数が少ない帰り道。

梶野がおもむろに口を開いた。


「…なーんか、
終わったら終わったで、
淋しーな!!」


―うん、
あたしもおんなじ気持ちだ。


…でも。


「…そお??
終わってよかったじゃん!!」


―『淋しい』、ってこと
なんだか認めたくなくて、
強がりが口をついて出てしまう。


「…そりゃそうか。
―あ、でも、お前は司見れなくなんじゃん!!」

「…あ、そっか」

「なんだそれ??
毎日のよーに目がハートになってたクセして!!」


そう言って、梶野が笑う。


―本当に考えもつかなかった。

そっか、東郷君も見れなくなるのか…


なんでだろう。


それは、
『淋しい』の原因じゃない…みたい。


首をひねっているうちに、コンビニに到着。


「―あ!!!」


梶野が何かを思いついたような声をあげた。


「どうしたの!?
…忘れ物??」


驚いて尋ねると、


「相原、今日ガリガリくん
おごんなくていーからさ!

―あれ行こーぜ!一緒に!!」


そう言って、梶野が指差した先にあったもの―…


それは、


コンビニの壁に貼られた、

『花火大会』

のポスターだった。

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