《MUMEI》
質問2
家までの道。

ふと気になったことを、
梶野に質問してみることにした。


「…あのさ、
東郷君って、好きな人いるのかな??
―梶野、知ってる?」

「……それ、うわさ?」

「うん、まあ…
なんか、『叶わない恋』、って聞いたから…」


梶野が、自転車を止める。

あたしも、自転車にブレ−キをかけた。


「―…だから、ゆっただろ?
“止めたほうがいい”って」

「だって、
理由もわからずに、
諦められないじゃん」


あたしが反論すると、
梶野は小さくため息をついて話し出した。


「…わかった。

―司には、
ずっと前から好きな人がいる。

誰なのかは、俺も知らないけど…

“相原には、たぶん絶対勝てないヤツ”
―ってことだけは、確かだな」

「なにそれ!?
…どういうこと??」

「―悪い。それ以上は言えない。

…でも司はさ、それで苦しい思いしてきてんだ。
『女殺し』なんて言い方しちゃったけど、
自分の気持ち抑えようって、必死になってんだと思う。

…やりかたは良くないっておれも思うよ。」


俯いたままそう言うと、
梶野は、急に真剣な目つきになって、
あたしを見つめた。

―今までに無いくらい、真剣な瞳。


「…だけど、そのことで司を責めないでやって。
お前のアドレスあいつに教えたのも、

“相原ならなんとかできんじゃねーか”

って思ったからなんだ。

―勝手に、ごめん」


こんな真剣な梶野を見るのは初めてで、

あたしは
その瞳から、

目を逸らすことができなかった。


事情は詳しくはわからなかったけど…


真剣な梶野の瞳には


「うん」


と答えることしか

できなかった。

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