《MUMEI》
-Λ-
あたしが眉間にしわを寄せたまま
梶野を見ていると、

梶野はふっと力を抜いて笑った。

そして、


「…相原はそのまんまでいてくれればいーよ」


そう言って、
あたしの頭をがしがしと撫でた。


ぐちゃぐちゃになったあたしの髪を見て、

ひとしきり笑った梶野は、


「あ、言い忘れてたけど、

相原、朝から歯に青のりついたままだから!!」


と、にやにやしながら言った。


―へ!!?


「―うそ!!!??」


慌てたあたしに、


「うっそー☆」


ふざけて言う梶野。


…騙された!!

―くそう…
さっきまであんまり真剣だったから、
梶野がウソツキだってこと忘れてた…

―そういえばあたし今日朝ごはん食べてないし!!!
(まして青のり入ってるもんなんか食べてない!)


無性に腹が立ったから、

梶野のすねに、
蹴りを一発お見舞いした。


梶野が蹴られたすねを押さえながら、


「…やっぱ相原、
暴力的なトコは治したほーがいいかも!!」


涙目でそう言ってきたので、


「ありのままのあたしで行くわ」


そう答えて、
さっさと自転車をスタートさせた。

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