《MUMEI》
花火大会
家から川原までの距離はそう遠くないので、
歩いて行くことにした。

あたしはいいって言ったのに、
お母さんは髪やお化粧まで手を尽くしてくれた。
(ほんと、こーゆうのだけは得意なんだから…)


7時前。
川原は、カップルや家族連れで賑わっていた。
所狭しと並んだ屋台からはいい匂い。


―なんだか恥ずかしくなってきた。
やっぱり、気合入れすぎっぽい??
可愛く着飾る必要なんか無いのに…


帰って着替えてこようか、なんて考え始めたとき…


こっちへ歩いてくる梶野を見つけた。


もう、腹くくるしかない!!
そうだよ!浴衣着て来いってゆったのあっちだし。
もし笑ったらまた蹴り入れてやる!!


―よし!


「梶野!!」


少し大きな声で

名前を、呼んだ。

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