《MUMEI》
・・#
梶野があたしを見た。
そして、あたしの前まで来て立ち止まると、
しばらくじっとあたしを眺めて


「えーと、…相原??」


と、言った。


「何?…どーしたの、梶野??」

「…いや…」

「―わ、笑わないでよ!?別に気合入れてるわけじゃないし、
お母さんが勝手に…」

「…お前、ホントに可愛かったんだな」

「…なッ…!?」


いきなり恥ずかしげも無く梶野が『可愛い』とか言うから、
こっちが恥ずかしくなって、
顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。


「もう!!変な嘘やめてよ」

「いや…相原のお母さん万歳」

「…も〜…
――行くよ!!!」


そう言って、あたしはずんずんと歩き出した。

梶野って、よくわかんない!!!

ほんっと、調子狂う…

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