《MUMEI》
的中
狙いを定めて、銃を構える梶野。

―パンッ!―

可愛らしい銃声が響いて、
ぽすん、とお目当てのウサギが倒れた。


「うっしゃ☆
いっちょ上がりい♪」

「…すご…」


まさか、ホントに取れるとは思ってなかった。


「はい、おめでとう。
よかったね、彼女さん♪」

「は…はあ…」

―だから、彼女じゃないって!!


「あの…この子に、あのラジコン取ってやってくれませんかね??」


孫らしき男の子の手をひいて横で見ていたおじいちゃんが、
申し訳なさそうに梶野に頼んだ。


「ん??…ああ、いいっすよ♪」

「―ありがとうございます!!
私らじゃ何回やっても取れなくて…」


そう言って、梶野に銃を渡すおじいちゃん。


「―ちょっと!!」


にこにこ顔の梶野を屋台からひっぱり出す。


「なんだよ??」

「そんな安請け合いしていいの!?
―取れなかったら、可哀想じゃない…」

「―だいじょーぶ!!
まあ、見てろって☆」


そう言うと、梶野は屋台へ戻っていった。


「おにーちゃんが取ってやるからな」


今にも泣き出しそうな男の子の頭を
よしよしと撫でながら梶野は言って、


おもちゃの銃を構えた。

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