《MUMEI》 消えない感覚しばらく歩くと、 梶野はあたしの手を離して言った。 「そろそろ、花火始まんじゃね??」 「え!?…あ、そうだね!!」 梶野に掴まれていた右手が じりじりと熱を帯びて、 なぜか心臓がドキドキする。 ―いつだって、梶野は急だ。 だから、いきなりのことに、 あたしの心と身体がついていけてないんだ、きっと。 「おれ、いー場所知ってんだって! …いこーぜ!!」 そう言って歩き出した梶野の背中を慌てて追う。 ―まだ、梶野の掌の感覚が消えない右手首を ぬいぐるみを持った左手で、そっと覆う。 …ついていけてないだけ!! 前へ |次へ |
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