《MUMEI》
夏の終わり
梶野は自転車で来たので、二人乗りで帰る。
梶野のシャンプーの匂いだろうか、
風とともに流れてくるいい匂いが鼻をくすぐる。


「―終わっちゃったな」

「うん…あっとゆーまだったね…」


そんな会話の中で、ふっと思った。


「あのさあ、梶野」

「ん??なーに?」

「あたしたちって、補習決まる前まで、
1回も話したことなんて無かったのにさ!
今こんな風に一緒に帰ってるって…

―なんかすごくない!?」


そう言うと、梶野は一瞬黙り込んで、それからこう言った。


「―ああ、そっか、相原は覚えてないか」

「え!?何が??」

「入学式の日さ、相原、男子にハンカチ貸しただろ」

「―…??う、うん」


―覚えてる。
でも、なんで梶野が知ってんの??
てか、それと今の話、何の関係が…


「あれ、おれだったんだよ」

「―…え!?うそ!!?」

「嘘じゃねーよ。
…っつっても、あれじゃ相原も
おれってことわかんなかったよな」


驚いた。

そっか、あの男の子、
梶野だったんだ…



―お話は、一年前の入学式の日まで遡ります―…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫