《MUMEI》
見破られた嘘
「…へんなやつって思ったでしょ??」


恐る恐る梶野に訊く。


「いや?
―…スゲーやつがいた、って思った」

「…へ??どーゆうこと??」

「おれは、花粉症じゃない。
…涙目だったのは、文字通り泣いてたから。
マスクは、それ隠すため」

「…ってことは」

「そう。相原は、おれの嘘を見破ったってワケ」


―あの違和感は、間違いじゃなかったんだ!!


「でもなんで、泣いてたの…??」


梶野に尋ねる。


「…その日の朝さあ、おれの昔からの親友が
―…死んじゃったんだよ」


―訊いちゃいけなかった!!!


「ご、ごめん…
辛いこと思い出させちゃって…」

「いや、いーんだ。
ポチだっておれが悲しむのは見たくないはずだからな!!!」

「…ポチって……犬??」

「うん。入学式休もうかとも思ったんだけど…
そんなの漢(をとこ)じゃないからな!!
―でも、泣くのは我慢できなかったから、花粉症のふりしてたんだ」

「…そ、そうだったの…」


―やっぱり、梶野の考えることは掴めない…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫